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レッスン

“騙し上手なクレー巧者”全仏オープン準優勝のボンドルソワが多用した絶妙ドロップショットとは?【テニスレッスン/ヤングスターのスゴ技を盗め】

スマッシュ編集部

2020.07.20

最初は両手打ちの強打と見せかけ、途中から右手をスロートへ移してドロップショットに切り替えている。写真=THE DIGEST編集部

最初は両手打ちの強打と見せかけ、途中から右手をスロートへ移してドロップショットに切り替えている。写真=THE DIGEST編集部

 グランドスラム(テニスの世界四大大会)の一つである「全仏オープン」で昨年、ノーシードながら準優勝に輝いた19歳(当時)のマルケタ・ボンドルソワ。彼女は「パワーだけでは勝てない」と言われる全仏のクレーコート(赤土のコート)で、持ち前の高度なスキルを駆使して大旋風を巻き起こした。

 なかでも、ここぞという場面で披露したドロップショットは秀逸だった。「強打する」と見せかけ、いきなり勢いを殺したボールをストンと相手コートに落としてポイントを奪う。まさに“騙し上手なクレー巧者”という言葉がぴったりのスゴ技であった。

 月刊スマッシュでは、こうした「若い、うまい、強い」の三拍子そろった選手に注目。「ヤングスターのスゴ技を盗め」と銘打ち、かつて史上最年少(17歳9カ月)で全日本テニス選手権を制覇している谷澤英彦氏に技術解説をしてもらった。

    ◆    ◆    ◆

 ドロップショットを効果的に使うには、いかに相手を欺けるか。ボンドルソワのようなクレーコートで育った選手は、その辺りのツボを十分に心得ている。

 その一つがテイクバックに見て取れる。ボンドルソワは両手でしっかりとラケットを握り「両手打ちの強打」を演出(左上写真)。そこからギリギリのタイミングで右手をラケットのスロート部分へと移動させ、片手打ちのドロップショットへと切り替えている。

 こうした前フリによる威嚇がえげつないほど、ドロップショットは威力を発揮する。
 
 また、ドロップショットの場合は強いスライス回転(逆回転)をかけてボールを弾ませないようにしつつ、ボールの勢いを殺して飛距離を抑えなければならない。その鍵を握るのがフォロースルーである。

 ボールにスライス回転を与えるためとはいえ、前へ大きく振り抜くスライスのストロークのようなスイングはダメ。なぜならボールの勢いを殺せないからだ。

 そのため彼女は、写真のようにフォロースルーの途中でスイングを止め、身体の左側でフィニッシュを迎えている。これによりバックスピン効果が生まれ、ボールがバウンド後に逆戻りするようなドロップショットとなる。一般の方もぜひ参考にしてほしいところ。

 クレーだからこそより威力を発揮する数々のテクニック。今年の全仏オープンは、新型コロナウイルスの感染拡大により約4カ月遅れとなる9月27日に開幕する。6月に21歳を迎えたボンドルソワは、その類まれなるスキルをさらにブラッシュアップさせ、悲願のタイトル奪取を虎視眈々と狙っているに違いない。

マルケタ・ボンドルソワ(Marketa Vondrousova)
1999年6月28日生まれ(21歳)。チェコ出身。身長173cm、左利き、バックハンドは両手打ち。バレーボール選手だった母親譲りの高い身体能力を誇り、2015年にジュニア世界ランキング1位に上り詰め、WTAツアー初タイトルは17歳の時に獲得した。緩急織り交ぜたクレバーな戦いが持ち味で、昨年は誕生日前の19歳の時に全仏を含む3大会で決勝進出を果たした。自己最高ランキング14位(19年7月1日付)。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2019年12月号から抜粋・再編集

【PHOTO】ボンドルソワのドロップショット、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』
 

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