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海外テニス

王者サンプラスが19歳のフェデラーに敗退。テニスの歴史が変わり始めた日/2001年男子4回戦【ウインブルドン名勝負】

スマッシュ編集部

2020.07.04

ウインブルドンを4連覇していた29歳のサンプラス(右)が衝撃の敗退。(C)GettyImage

ウインブルドンを4連覇していた29歳のサンプラス(右)が衝撃の敗退。(C)GettyImage

 ウインブルドンに思いを馳せ、過去の名勝負をシリーズで掲載。今回は2001年の男子4回戦、ピート・サンプラス対ロジャー・フェデラーだ。今振り返れば、新旧の芝の王者が唯一相まみえた試合となった。

   ◆      ◆   ◆

「今年ここで最後の試合を戦いたい。その試合に勝って、それを僕のキャリアと呼びたい」

 開幕前日、地元紙に掲載された記事がちょっとした物議を醸した。米国テレビ局の解説者として現地入りしている親友ジム・クーリエとの対談の中で発言されたという事実上の引退宣言。真意を求めて詰めかける記者を前に、練習を終えたピート・サンプラスは静かにその発言を否定した。

「昨年は誰もが記録更新のことばかり聞いてきた。彼らは常に話題を求めている。現在の彼らの関心は僕の引退にあるようだ」

 サンプラスはグランドスラム最多の13勝目をウインブルドンで達成した後、1年間タイトルから遠ざかっていた。1月の全豪は4回戦で敗退し、5月の全仏は2回戦負け。8月に30歳を迎える王者の周辺には常に引退の噂が渦巻いていた。

 そんな周囲の喧騒をよそにサンプラスは虎視眈々と8度目の芝の勲章を狙っていた。「確かに今年前半はよくなかったけど、僕は今まで何度もここ一番でちゃんと実力を出してきた。その点では自信を持っているよ」
 
 2回戦、サンプラスは世界265位のバリー・コーワンにフルセットまで粘られる。だが、3回戦では相手にブレークポイントすら与えない内容でストレート勝ち。次第にエンジンを上げていく例年通りの調整でファーストウィークを終えた。

 そして迎えた4回戦、サンプラスは10歳年下のロジャー・フェデラーの挑戦を受けた。

 ベースラインでもネットでも多彩なテクニックを持つフェデラーは次代のナンバーワン候補と目される1人だった。「彼は素晴らしいオールラウンダーだ」というサンプラスの言葉通り、試合は大接戦になった。

 第1セット、フェデラーがタイブレークを制して先取。第3セットではサンプラスがオーバーヘッドミスでサービスゲームを落とし、フェデラーがセットカウント2-1と王手をかけた。
 

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