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国内テニス

テニスと意外に関係が深い「スポーツ皮膚科」って何に対応してくれるところ?

赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

2020.06.21

「スポーツ皮膚科」を日本で確立しようとしている辻雄介氏。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

「スポーツ皮膚科」を日本で確立しようとしている辻雄介氏。写真:茂木あきら(THE DIGEST写真部)

 ベテランテニス35歳以上で1位になったこともある辻雄介氏。実は医者でもあり、専門分野は「スポーツ皮膚科」だと言う。「スポーツ皮膚科」。わかりそうで、はっきりとはわからない。いったいどんな分野なのか、本人に聞いてみた。

「スポーツにおける皮膚トラブルが対象です。日焼けのトラブル、かゆみ、爪など、皮膚に関すること全般です。スポーツとうまく付き合いながら、治療を提案することもあります。スポーツドクターなので、ドーピングの知識を理解した上で処方することもできます。

 皮膚トラブルは結構多く、競技の特徴が大きく影響します。テニスの場合、紫外線の影響も受けますし、汗のトラブル、虫刺されなど、みなさんも経験があるのではないでしょうか。例えば、私自身も手足にマメができた経験がありますが、『マメ』と一言で言っても、皮膚科医が診ると様々な疾患の可能性があり、最悪の場合、手術に至る場合もあります。

 昨年、車いすテニスの選手がよく練習している吉田記念テニス研修センターで、選手と一緒に車いすテニスをさせてもらったことがあるのですが、プレーするのが本当に大変でした。車いすに座ると、義肢や装具をつけている方と同様に床ずれ(褥瘡[じょくそう])のリスクはあります。意外だったのは、手の皮が剥けるトラブルが多いことでした。これは、ラケットを持ったままで車いすをこぐためですが、体験して初めてわかりました」

 日焼けやマメと言われると身近に感じるが、テニスをしていて普段はそれほど大きな問題にはならない。しかし、正確な知識に基づき、予防や重症化した時に頼りになる分野ということだろう。以前、国枝慎吾選手に話を聞いた時に、「1シーズンに1度は手のひらの皮がほぼ全部剥ける」と言っていたので、車いすテニス選手にとっては、必須の分野かもしれない。
 
 それにしても、あまり聞いたことがない「スポーツ皮膚科」という分野に、どうして辻氏は興味を持ったのだろうか。

「確かに、日本ではほとんど認知されていません。たまたま父が皮膚科医だった影響もあり皮膚科を選びました。一方で、ジュニアの頃からテニスをしており、スポーツに携わりたかった。たまたま、その2つのコラボレーションである『スポーツ皮膚科』が世界には存在していることを知り、日本で確立していこうと決めました」

 テニスだけでなく、スポーツに皮膚トラブルは思ったよりも多いようだ。今までどこに相談すればいいかわからなかった皮膚トラブルも、「スポーツ皮膚科」が認知されれば頼りになるだろう。何より「スポーツ」を理解して診療にあたってくれる。それに、テニスをしていると日焼けの問題は常についてまわるので、日焼けの心配がなくなる“何か”が誕生してほしいと個人的には思う。

 辻氏は普段、慈恵医大大学院で紫外線に関する研究を行ない、精力的に学会発表などをしているが、この緊急事態に、コロナ専用病棟で新型コロナウイルス陽性者の診療にあたっている。

【プロフィール】
辻雄介(ツジ ユウスケ)
日本医大卒業後、慈恵医大で皮膚科後期研修修了。現在は、慈恵医大大学院で紫外線に関する研究を行いながら、スポーツ医学における皮膚科学「スポーツ皮膚科」という新しい学問の確立に取り組む。プリンス契約コーチ。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医、日本医師会認定産業医など。

文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

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